高齢者ホームの現場で進むオンライン化施設内覧には Air-DAM(エア・ダム)を導入

導入事例,Air-DAM

コロナ禍は私たちの日常の風景を一変させた。特に高齢者はハイリスクということもあって日常の行動が大きく制限され、運動機能や認知機能などの低下リスクに直面した人も少なくないだろう。

一方で、さまざまな工夫と細心の注意を払って高齢者の日常を守り続ける空間もある。その1つ、長谷工シニアホールディングスが運営する介護付有料老人ホーム「センチュリーシティ王子」を訪ねた。JR「東十条」駅前に広がる商店街の脇、大型スーパーや学童保育施設などの並ぶ賑やかな一角に、瀟洒な建物が建っている。

エントランスゲートを入ると、街の賑やかな空気から一転、青竹が目に涼しく静かで開放的な中庭が広がっていた。入口では手洗いうがい検温から、ミストによる全身消毒まで徹底して行い、ようやく建物の内部に入ることができた。シックで洗練されたマンション空間といった雰囲気だ。長谷工シニアホールディングスの佐藤剛士さんにお話を伺った。

高齢者ホームの現場で進むオンライン化施設内覧には Air-DAM(エア・ダム)を導入

徹底した感染対策に外出や面会の制限、
コロナ禍で変わったシニア施設の暮らし

商店街からも駅からも近く、外出するのが楽しくなる立地ですね。

佐藤ここのホームの魅力は地域との近さにあります。内部でのサークル活動などを楽しみつつ、気軽に外出もしやすい住環境。コロナ禍前は、隣接する学童保育の子どもたちが食堂で一緒に夕食を食べたりもしていました。そうした地域との距離感、触れ合いの多さが、この居住空間での日々を豊かにしてくれています。

その上で、24時間、施設に見守りスタッフが常駐しているという安心感もあります。今は不自由なく自立して生活できている方でも、年齢を重ねるにつれて、徐々に一人暮らしでは対応しきれない部分が増えていくものです。こちらのホームには自立型の居室が60室、介護型の居室が30室ありますが、それぞれの方の状況に応じた暮らしの環境づくりを大切にしています。

高齢者ホームの現場で進むオンライン化施設内覧には Air-DAM(エア・ダム)を導入

ゲートをくぐると都心の喧騒から一転、緑豊かで開放的な中庭が広がる。奥には家族とゆったり過ごせるパーティルーム用の平屋一軒家も。


コロナ禍でホームでの暮らしも大きく変わったのでしょうか?

佐藤1日2回の館内消毒、定期的なPCR検査の実施などによって感染対策を徹底しましたが、サークル活動の中断や面会の一定の制限などもせざるを得ませんでした。面会は中止にしたわけではなく、完全予約制で1回15分という制限を設けて継続しましたが、自由な外出もできるだけ控えていただくなど、感染予防対策にご協力をお願いすることになりました。

一方で、コロナ禍による心身への影響を最小限にできるよう、館内放送を活用したレクリエーションや体操など、さまざまなプログラムを提供して、感染対策をしつつも楽しさと刺激のある日常を維持できるような工夫も凝らしました。一般住宅での独居と違い、入居者同士やスタッフとの日常の関係性が、密を避けつつ持続できたことは大きいと思います。

高齢者ホームの現場で進むオンライン化施設内覧には Air-DAM(エア・ダム)を導入

食堂でも、スタッフがみなさんの顔色や食欲などをさりげなく確認しています


高齢者層もオンライン化にしっかり対応
リモートで情報を積極的に取りに行く時代

情報発信において、オンラインを活用するという流れがあるようですね。

佐藤私たち長谷工シニアホールディングスは、これまでオフラインでセミナーや見学会を開催し、高齢期における自立型の暮らしをご紹介してきました。

セミナーでは、高齢期の住まい方を考えるきっかけにしていただき、その選択肢の1つとしてホーム見学へと繋げていく大切な入口だったのですが、コロナ禍により開催できなくなりました。そこでオンラインセミナーへとシフトすることにしたのです。

当初は、ご高齢の方が本当にネットを駆使したオンラインセミナーなんて利用するだろうかと不安でしたが、実際にやってみたら杞憂だったことがわかりました。繋ぎ方がわからないといったお問い合わせは全くなく、みなさんしっかり時間までにスタンバイされて、複数のセミナーを熱心に受けておられました。50代から70代の方がメインでしたが、最高齢では97歳の方がご自分でログインされていましたし、海外からのお申し込みもありました。積極的にご自分から情報を取りに行く感度の高い方たちは、オンライン化にも対応できているということを実感しました。


施設見学における、Air-DAMの活用について教えてください。

佐藤オンラインセミナーでの反響を受けて、その先のコンテンツの1つとしてAir-DAMを活用したホーム見学会をスタートさせました。コロナ禍のために、できれば外出は控えたいという方たちは少なくありませんでしたので、そういった方たちのニーズに対応できるだろうと考え導入を決めたのです。

高齢者ホームは、マンションのモデルルームなどを見学する場合と異なり、どのようなスタッフや入居者がいて、どのような雰囲気の施設なのか、どういったサービスがあるのか、といったソフトの部分の確認が非常に重要になります。ですから、最終的にはご自分やご家族が足を運んで確認した方がよいと思いますが、その前段階として、Air-DAMは施設見学のハードルを下げるツールになりました。

これまでにAir-DAMを通じてリモート見学を体験した方からは、足が悪くて外出の難しいお母様がお子様と一緒に見学できた、忙しいお子様が移動時間のロスなく仕事の合間に見学に参加できたなど、反応も上々でした。

まずは周辺の環境や建物の外観などをお見せして……などと施設の魅力をさまざまな角度からお伝えしようとしたのですが、「その辺りはすでにインターネットでチェックしてきましたので、内観を見せてください」と、事前リサーチをしっかり済ませている方もいました。その辺りも先方のニーズに合わせて柔軟に対応できるのがいいですね。

高齢者ホームの現場で進むオンライン化施設内覧には Air-DAM(エア・ダム)を導入

見学用の居室をAir-DAMでご案内。緊急ボタンが配備され、完全なバリアフリー仕様であることを除けば、通常のマンションと全く同じ。
心地よいプライベートな住空間である。


今後は、どのようにオンライン見学を活用したいですか?

佐藤施設見学会では、実際にご入居されている方も一緒に施設内を回ってご説明いただくことがあるのですが、Air-DAMでのオンライン見学会にも、ご入居者に登場していただくというような形も検討したいと思っています。

キッチンの使い勝手や共有スペースの活用法、入居の際に用意すべきもの、逆に用意しなくてよいものなど、入居されている方がご案内することで、生活する人の目線で大切な情報をお伝えできるほか、施設についてのメリットだけでなくデメリットに感じていることも含めてお伝えいただくのは、その方にマッチした施設を見つける上でも有益だと考えています。ご入居している方たちの雰囲気や関係性の距離感などもお伝えできるので、このスタイルはぜひオンラインでも取り入れていきたいところです。

あるいは、入居者のご家族からの介護相談といったやり取りにも、Air-DAMを活用できるのではないかと考えています。気になる場所があれば手元カメラで近づいてじっくりお見せするなど、対面の見学と変わらずコミュニケーションが取れますので、さまざまな使い方が考えられるでしょう。


今後、高齢期の住まい探しのニーズはますます高まると思われます。

佐藤今は、多くの方たちが、要介護などの状態になってから慌ててホーム探しをスタートさせています。しかし、そういう事態になってから急いで動き始めると、じっくり腰を落ち着けて納得のいく環境を見つけることが難しくなります。また、介護保険を使い始めてからの施設探しでは、紹介された中から選ぶことが多くなり、選択の幅が狭くなりがちです。コロナ禍をきっかけとしてオンラインが日常になった今だからこそ、積極的にリモートのセミナーや見学会を利用して、できるだけ多くの情報を収集した方が、自分に合った施設を見つけられる確率が格段に高くなるはずです。

未曾有の高齢化時代が始まっています。年老いた時の暮らし方を早めにデザインすることの重要性が、今後はさらに増していくでしょう。

高齢者ホームの現場で進むオンライン化施設内覧には Air-DAM(エア・ダム)を導入

佐藤剛士さん。株式会社長谷工シニアホールディングス関東入居相談室部長。
「長谷工の高齢者ホームは安心して心地よく過ごせる日常空間を何より大切にしています」と語る。
2023年東京都台東区蔵前に開設予定の新しい高齢者住宅の準備も始まっている。