2021.09.27株式会社マガジンハウス・高木 幹太さん

UXDセンターは、リビングライフ市場を主戦場とし、DX・デジタルマーケティング領域のパイオニアとなるべく集結した、20社総勢130名が在籍するプロフェッショナル・コンソーシアムです。多種多様なメンバーが集い、それぞれの強みを活かしたサービス・ソリューション開発を行っています。本連載では、UXDセンターで働くメンバーをご紹介します。今回は、自分らしい部屋作りと暮らしを楽しむウェブマガジン『ToKoSie』編集長の高木さんにお話を伺いました!

【UXD member vol.7】株式会社マガジンハウス・高木 幹太さん

まず、簡単に自己紹介をお願いいたします。

私が勤める株式会社マガジンハウスは、『anan』や『POPEYE』『BRUTUS』などを発行する雑誌中心の出版社です。1970年創刊の『anan』では「アンノン族」、1976年の『POPEYE』では「ポパイ少年」、1982年の『Olive』は「オリーブ少女」というように、若者の新しいライフスタイルやブームを牽引する雑誌を多く生み出してきました。私自身も学生時代、『POPEYE』が紹介した西海岸のカルチャーが、東京の大学生に瞬く間に浸透していく様子を目の当たりにしましたので、新たなムーブメントを生み出す現場ということで、雑誌の世界に入りました。入社後は、『POPEYE』『Tarzan』『Hanako』『ダカーポ』など、さまざまな雑誌を担当してきました。

10年ほど前に新設のクロスメディア事業局に異動になり、雑誌で培ったクリエイティブの経験を活かして、企業のオウンドメディアやWEBマガジンを作る仕事に従事しています。現在は『ToKoSie』を含め、3つのメディアに携わっています。


趣味や特技などはありますか?

雑誌の編集者は、取り上げるテーマに対してプロ並みの知識が要求されますので、付け焼き刃ではありますが、さまざまな分野を勉強してきました。中でもワインについては、1990年代後半のワインブームの火付け役となった雑誌『BRUTUS』のワイン会のメンバーだったこともあって、かなりのめり込みました。実際にワイン特集も作りましたし、それ以外に個人的な活動として、ワインジャーナリストを名乗って、専門誌に原稿を書いていました。その時期は、年3回ペースでヨーロッパに渡り、イタリア、フランスのワイナリーを100軒以上取材しています。その頃、イタリアではスローフード運動が活発化し、イタリアワインが飛躍的に質を高めたこともあり、そのあたりにフォーカスをあてた単行本も出しています。


おすすめのワインを教えて下さい。

ワインは個人の味の好みがあるので、なかなかおすすめしにくいのですが、ワイン通が「これはすごい!」と唸るワインを1本ご紹介しましょう。チェーン展開している酒屋『やまや』で買える、カヴァの『ハウメ セラ ブリュットナチュレ』です。1本680円(税別)ですが、2本買えば1本あたり500円になります。カヴァというのは、シャンパーニュ方式で造ったスペインのスパークリングワイン。シャンパーニュは、普通、最後に甘みのあるリキュールを添加するのですが、これは「ブリュットナチュレ」と言って、リキュール添加なしの超辛口のタイプです。シャンパーニュでいう「ノン・ドサージュ」で、通常、スタンダードのシャンパーニュよりも高いグレードで生産されています。初心者には甘みのある普通のシャンパーニュの方が口に合うかもしれませんが、酒を飲み慣れた人たちはむしろこの超辛口の方がいい。シャンパーニュはスタンダードなものが3800円ぐらいからですが、これは500円なのに、スパークリングワインとして充分納得できる、というところがすごいです。はっきり言って安すぎるので、箱買いする人が多く、時々品切れになっています。


現在はどのようなお仕事を?

マガジンハウスのクロスメディア事業局でWEBマガジンを制作しています。クロスメディア事業局は、企業のPR誌や会報誌の制作を請け負う部署ですが、デジタル領域にも対応しており、WEBメディアの開発や運営も事業として展開しています。私は10年ほど前から主にWEBマガジンの制作を中心に、関連のムックや冊子、印刷物の制作、アプリ制作なども担当しています。

10年前というと、WEBサイトはありましたが、電子書籍や電子雑誌はまだ形になっておらず、WEBマガジンと呼べるメディアもありませんでした。そんな時期に、CMSを導入することで、コンパクトな体制で雑誌のようなコミュニケーションを行う仕組みを確立し、企業に提案してきました。WEBマガジンは、特定のテーマで、質の高いコンテンツを定期的に配信することで、ブランディングしつつ、読者とのコミュニケーションを深めていくメディアです。コンテンツの制作は、質の高いものをワンオフで作る広告制作会社や、質を求めなければWEB制作会社でもできますが、クオリティの高いコンテンツを量産するというのは、雑誌をやってきたマガジンハウスだからこそということもあり、特にブランディングを大切にする企業に評価されています。


UXDセンターに関わることになったきっかけは?

2016年、デベロップジャパンから、マンションライフをテーマにしたウェブメディアを作りたいという相談をいただきました。私の別の仕事をご覧になって、お声がけいただいたようです。私からは、「家づくりは究極のオシャレ」というコンセプトで、家づくりやインテリアにこだわるライフスタイルを伝えるWEBマガジンを展開し、世間にそうしたカルチャーを醸成していくプランを提案しました。それをぜひやってみようということで、マガジンハウスとして、ToKoSieの制作・運営を担当することになりました。

【UXD member vol.7】株式会社マガジンハウス・高木 幹太さん

UXDセンターに入ってからはどんな仕事をしていますか?

ToKoSieの立ち上がりから、制作、運営全体をコントロールしています。マガジンハウスは雑誌作りの経験を積んだフリーランスのライターやカメラマンを多く抱えていて、コンテンツ作りは彼らとチームを組んでやっています。WEBデザイナーやプログラマーも含めると14〜5人のチームです。マガジンハウス的なクオリティ感覚が身についたメンバーが揃っています。

先に少しふれましたが、マガジンハウスのアプローチとして、メディアを核に、そこに集まった読者とともにムーブメントを起こしていく手法があります。『POPEYE』や『Olive』もそうですし、『BRUTUS』のワイン特集など、特集単位の小さな仕掛けもあります。ToKoSieも同じアプローチを展開しています。家づくりにこだわるカルチャーの広がりを狙って展開しており、徐々にその成果が現れています。

また、最近では、UXD KURASHI LAB.のイベントやオンラインセミナーにも、協力しています。ToKoSieで取材した専門家をブッキングするなど、他のメディアとの連携も増えています。


UXDセンターにどんな印象を抱いてますか?

答えづらい質問ですね。最近でこそ「暮らし領域のデジタルマーケティング」を推進する組織ということになりましたが、これまでは、UXDセンターが何を目指しているのか、全体像がつかめなかったというのが正直なところです。UXDには様々なプロジェクトがあって、それぞれ専門の方が動いている印象ですが、それがなにかひとつの方向に向かっているというよりは、いろんな実験を並行して行っているように見えました。言ってみれば、R&Dセンターという感じでしょうか。ToKoSieもそうですが、今後、ビジネスの場でも形になるものが出てくるのではないでしょうか。


UXDセンターで今後どんなことに取り組んでいきたいですか?

これまで5年間ToKoSieを運営して、家づくりにこだわるカルチャーの裾野の広がりを感じています。特にリノベーションには、市場の注目が集まっています。新築のマンションが高騰して買えなくなってきている中で、家づくりにこだわる人たちがリノベーションに向かうようになってきました。そうした状況の中で、ToKoSieは、ひとつの役割を果たしていると感じています。

今後は、さらに、ToKoSieがリノベーション分野をリードするメディアになるよう、成長させていくことを考えています。まずは、リノベーションのトップメディアにすべく、リノベーションの特設ページを作り、また、動画を導入し、YouTubeチャンネルを展開するなど、新たなチャレンジを進めています。UXDセンターからも、アナリティクス面での協力をいただいており、皆さんの期待に応えたいと考えています。

【UXD member vol.7】株式会社マガジンハウス・高木 幹太さん

ありがとうございました!

高木幹太(タカギ・ミキタカ) 

高木幹太

雑誌編集者、クリエイティブディレクター。株式会社マガジンハウスに入社、雑誌編集者として『POPEYE』『Tarzan』『Hanako』などを経て『ダカーポ』編集長。2011年からクロスメディア事業局で、WEBマガジン、オウンドメディアの制作に取り組む。
個人的な活動では、ワインジャーナリストとして、主にヨーロッパのワイン及び食文化の取材、執筆活動を行っている。著書に『イタリア銘醸ワイン案内』

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