2021.06.14「住まいと暮らし」はいま変革の時。
UXDセンターに期待すること

UXDセンター(User eXperience Design Center)』は、各業界のプロが集まり、新時代の「住まいと暮らし」を提案していく知の集合体である。異業種の専門家たちが関わり合い、化学反応を起こしながら新たなサービスと価値を生み出す、その縦横無尽な広がりこそが同センターの真骨頂だ。この刺激に満ちた空間の生みの親とも言うべき2人が、「住まいと暮らし」業界の今と、UXDセンターへの思いを語り合った。

「住まいと暮らし」はいま変革の時。UXDセンターに期待すること

向って右は楢岡氏(株式会社長谷工アネシス 代表取締役社長)、左は高橋氏(株式会社デベロップジャパン代表取締役社長)


株式会社 長谷工コーポレーションの創業者、長谷川武彦は、もう40年近く前に亡くなりましたが、非常にパワフルな人でしたね。何でも日本一でないと気が済まない(笑)。日本一早いとか、日本初だとか、そういうことに強くこだわりました。出張に行く時も、乗車時刻の1時間も前に駅について、誰よりも最初に新幹線に乗り込もうとする、みたいなね。そういうイノベーター気質は、今のような変革期においては、ますます重要になります。

まずは、やってみよう、という姿勢ですよね。

今やどこでもモデルルームが当たり前になっていますが、日本にそんなスタイルがまったくない時代に、いち早く取り入れたりしていましたからね。欧米流のマンションという新しい住居スタイルを日本に取り込み、土地の取得から、マンションの商品設計、売り方まで、全ての方法論を切り拓いてきたと言えます。

とはいえ、いつまでもその勢いを持続できるわけではない。20年ほど前にデジタルマーケティングが勃興してマンション市場にも大変革が起きたとき、うまくシフトしきれなかった部分があるのは事実です。だからこそ、社内のさまざまな部門でオープンイノベーションを取り入れて、新しい息吹をエネルギーに、次なる手法を開発していこうとしているわけです。

我々のUXDセンターも、そうしたムーブメントの一つとしてスタートしました。デジタルやマーケティングの視点を持って顧客体験をデザインし直さないと、どんどんと変わっていくお客様のニーズについていけなくなるなと。社外のパートナーを探し、最先端のデジタルマーケティングに関する「知の集合体」みたいな形を目指しているわけですが。

次の時代の「住まいと暮らし」のありようを見据えて、いろんな仮説を立てて検証していく実験場ですね。いわゆるインキュベーション的な存在ですから、どう完結させるかといった想定ありきでなく、まずはやってみることが大切だろうと思っています。

「住まいと暮らし」業界は、いま変革の時、UXDセンターに期待すること

作ったものに生命力があると
セールスせずとも勝手に動いていく

これまでも、マーケティングオートメーションだとか、散々言葉で言われてきていたけれども、現場としては体感しきれていない部分があった。でも、徐々に機が熟してきている感じがしますね。

1つ1つの仮説が、検証を経て、少しずつ形になり始めています。その事例の一つがマンション販売のDXソリューションとして開発されたAir-DAM(エアーダム)です。お客さんが足を運んで実際に内覧するというモデルルームのあり方が、このコロナ禍で一気に変容したこともあり、こちらの想定を超えてデジタルの使われ方がそれぞれの現場で進化しています。お客様がご自宅からパソコンでオンライン見学をするという使用方法を想定していたのですが、お客様がモデルルームに行きAir-DAMを使いながら遠隔にいる販売スタッフに質問したいという想定外のリクエストをいただいたこともあります。

作ったものに生命力があると、自分たちが思った以上に育っていくものです。仮説を立てて検証して、お客様に使ってもらって反応がよければ、外側へとオープンにしていく。すると、セールスなんかしなくても勝手に動き出していくんです。

セールスしなければ広がらないようなものはニーズ的に捉えきれてないってことですからね。一方で、生命力のあるサービスは、独自の成長を遂げています。メディア戦略第一弾として立ち上げた、自分らしい住まいを提案するウェブマガジン『ToKoSie(トコシエ)』は、リノベーションのニーズを幅広く掘り起こし、集客ツールとして機能していますし、昨年発足したばかりの住まいと暮らしを考える消費者参加型の『UXD KURASHI LAB.』では、エッジの効いた情報発信を通してユーザー同士が繋がり、双方向メディアとして感度の高いコミュニティを形成しつつあります。

今後は日本でも、古い住まいに手を入れながら長く大切に住んでいく、という欧米的な暮らし方が増えていくはず。リノベが1つの大きな市場であることは間違いありませんね。そうした1歩先を見据えた取り組みは今後ますます重要になるでしょう。

「住まいと暮らし」業界は、いま変革の時、UXDセンターに期待すること

自分でいかようにも仮説を立てられる
その縦横無尽さが最大のエネルギー

UXDセンターには、人から人へと繋がって、畑違いの分野からさまざまな専門家たちが集まっていますね。門外漢なりに不動産業界のことを情報として浴びながら、これまで自分の業界で蓄積してきたスキルなり構想なりをアウトプットしていく場になっている。

いろんな組織で力をつけてきた人間ばかりですが、組織の中で思うように動ききれなかった部分もあった。それが、UXDセンターであれば、自分でいかようにも仮説が立てられるという自由さが最大のエネルギーになっていますね。

たとえ仮説通りいかなくても、必ず蓄積されていくものはあります。例えば、働く女性やママ世代をターゲットにしたWebマガジン『アイスム』は、当初の形をとどめてない。変化しながら、それでも看板はきちんと残っている。継続していける限り、失敗とはならないんです。

今後も、オープンイノベーションならではの化学反応を次々と起こしていきたいですね。デジタルネイティブ世代が消費中核層になった時、今蒔いている種がさらに一気に芽吹いていくはずです。

仮説の検証から、さらに次のステージに進んでいく時ですね。期待しています。

楢岡祥之氏

楢岡祥之氏

株式会社 長谷工コーポレーション取締役専務執行役員 兼 株式会社長谷工アネシス代表取締役社長。IT・CR推進担当として、新時代の長谷工グループを牽引している。

高橋友広氏

高橋友広氏

デベロップジャパンは、長谷工グループのデジタルマーケティングを一手に担っており、不動産業界にイノベーションを起こすべく、楢岡氏らとともにUXDセンターを立ち上げた。